ここにオブラートはない
written by summer鳥子
2017.08.22 Tuesday

久方ぶりの伊坂作品。家裁調査官のふたりが少年の無免許運転事故の裏にある真相をだらだらと探っていく話です。『チルドレン』の続編ですが、なにぶん『チルドレン』を読んだのが10年近く前なので仮面の銀行強盗の件くらいしか覚えていない。先に読み返しておけばよかったなあ。何気ない雑談が後にパッと活きてくるのが実に伊坂作品らしくしみじみとしました。この雰囲気、懐かしい。終盤の盛り上がりどころが『砂漠』と被っている気がするのと、そもそも終盤の事件自体が唐突で、すべてが一本に収束していく伊坂作品の爽快感があまりなかったのが残念なところです。筋書の面白さよりも、陣内というキャラや人物同士の掛け合いの魅力が肝の一冊でした。

悪人を裁くことは悪なのか、そもそも悪とはなんなのか、明確な「正しさ」は誰にもわからないものの、陣内の「お前みたいなやつがいるからだよ」という一言が正しいことだけはわかります。シンプルで、ざっくり切り出しただけの言葉なのにすとんと落ちてくるセリフが多いのも伊坂作品らしいです。希望を感じる、いいラストでした。







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