ここにオブラートはない
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2017.11.14 Tuesday

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2017.03.27 Monday

男女の性に纏わる短編集。性愛の性ではなく、性別、性差、男女というたった2つの性別に纏わる無数の苦悩の話でした。それぞれの人生の話が読みやすくアッサリと、それでも根底には性に対する問いかけが常にあり、ライトな筆致ながらなかなか読み応えがあります。たった2つの性なのに、性別が違うというだけなのに、人は苦悩する。たった2つしかないから、苦悩するのかもしれません。人は誰しも物語を背負って生きているのだなあと、なんとなく気づかされる一冊です。二編目「ある男女の光景」は、ひねくれている人は冒頭数ページで仕掛けに気づいてしまうと思うのですが、仕掛けに気づいた上でも面白さが損なわれないのがすごい。作品のテーマと仕掛けが密接にリンクしていて、一発騙して終わり、みたいな作品とは一線を画しています。読者を騙すことではなく、その先に目標を据えた著者の構成力に唸らされました。飛天御剣流の抜刀術は隙の生じぬ二段構え!といった具合です。るろうに剣心が分からない方はいまの例えは読み飛ばしてください。

主人公の人間的な魅力とやわらかな読後感が心地よい表題作「憧れの女の子」もお気に入りです。子どもを産むなら女の子が欲しいという気持ち、わかる。

2017.11.14 Tuesday






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